いよいよ桜の季節になりました。関東周辺の平野部でも見ごろを迎え、各地でお花見が賑わっていますね。これから桜前線も北上し、5月の中旬くらいまでは全国で桜フィーバーが続くものと思われます。
今回紹介する箱根・芦ノ湖周辺では平野部より少し遅れて4月に入ってから開花するのがいつもの流れ。これからが見頃です。
さて、その箱根ですが、東京、神奈川、静岡、山梨の、30を超える市町村にまたがる富士箱根伊豆国立公園の一角にあり、四季を通じて国内外から大勢の人が訪れる観光地。都会からのアクセスも整備され、麓から湯本、強羅、大涌谷など見どころが続き、温泉、登山鉄道、グルメ、美術館、アウトドアスポーツと楽しみも満載。また、山を東に下れば小田原・熱海、西に下れば沼津といった海辺の観光地が控えているのも魅力。一日目を箱根で遊び、二日目は小田原や沼津で海の幸を食べ、干物やかまぼこをお土産に買って帰る、というプランもおススメです。
ただ、それらをすべて紹介するのは無理なので、今回は芦ノ湖に的を絞って話を進めましょう。
僕と芦ノ湖の関わりは、いまから40年ほど前に釣りで訪れたことから始まっているのですが、ここを起点に東にも西にも行くことができ、周辺にはお世話になっている釣り具メーカーやルアーショップも多数あり、仕事の上でも非常に重要な拠点です。
僕が釣りで芦ノ湖に通うのは3月に入ってからですが、その頃はまだ冬に近く、朝の気温は5℃前後。下界より5~6℃低いのが普通で、マイナスになることも珍しくなく、解禁当初から4月の中旬までは霜が降りたり、雪が降ったりすることもしばしばあります。今年も春の大雪がニュースになりましたね。
その後、初夏を迎えて湖岸を新緑が覆っても、富士山はまだ雪をかぶっています。芦ノ湖ファンは、この雪がなくなると本格的な夏の訪れを実感します。
真夏は春の寒さが嘘のように暑くなり、気温が30℃を超えることも。春は下界より5~6℃低い箱根ですが、夏はほとんど気温差がないのです。周辺の林ではヒグラシ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシなどのセミが鳴いて夏気分を盛り上げてくれます。
お盆を過ぎると徐々に秋めいた空気になり、10月後半くらいからは山の木々も赤く染まり始め、いよいよ紅葉の季節へ。11月に入るとさすがに吹く風も冷たくなり、一気に冬に向かっていきます。
また、この時期になると水温より外気温のほうが低くなるため、早朝の湖面は靄に包まれた幻想的な景色になることも。こうなると釣りシーズンの終了も間近。僕の芦ノ湖通いもしばらくお休みとなります。
そんな芦ノ湖の楽しみ方ですが、釣りのほかにも、遊覧船で湖水を一周したり、白鳥ボートに乗ったり、ロープウエイで大涌谷に行ったりと様々。
また湖の西岸は自然の景色そのままの遊歩道になっており、湖尻から箱根湾までの約12㎞が通行可能。歩行時間は3~4時間、高低差は15mほどあり、健脚自慢のトレッキングファンがシーズンを問わずに訪れています。東岸も距離こそ短いものの、湖尻からプリンスホテルまでは自然のままの遊歩道として散策が可能。手軽にハイキングを楽しむならこちらのコースがお勧めです。
遊歩道周辺には鳥や動物も多く生息し、タヌキ、イタチ、テン、アナグマなどに遭遇することもしばしば。暗い時間帯にはイノシシやシカも徘徊しているようです。
鳥ではコゲラ、ヤマガラ、エナガ、シジュウカラといった身近な小鳥から、カケス、キジなど大型の野鳥も多数生息。大陸からやってきた画眉鳥(がびちょう)も見ることができます。晩秋から春先にかけては葉も茂っておらず、バードウォッチングには最適です。
さらにさらに、昆虫ファンにうれしいのはミヤマクワガタの存在でしょう。僕がまだ少年だったころ、ノコギリクワガタに比べて圧倒的に出会いの確率が低かったミヤマとの遭遇は、この年になってもスペシャルな出来事です。
こんな感じでいろいろ楽しんだあとは、やっぱり「食」ですよね。箱根には有名なレストラン等もたくさんありますが、そのなかで僕的に一番のお勧めは湖の魚を使った各種定食。ワカサギのフライやてんぷら、ニジマスやヒメマスのフライ、バター焼きはぜひ食べておきたいところです。
芦ノ湖へのアクセスは、東名高速の沼津、御殿場、あるいは小田原厚木道路の小田原出口を経由して上ると分かりやすく、途中にはコンビニやトイレなどもあって便利。これが基本ルートですが、裏ワザとしては、裾野インターから県道337号で峠越えというルートもあります。この道は曲がりくねった狭い山道で勾配がきつく、対向車が来ると譲り合いが必要ですが、どのルートよりも走行距離が短いのがメリット。夜間にはシカやウサギなどの野生動物に遭遇することがあるワイルドさも魅力です。しかしまあ、家族連れ等のレジャーなら避けたほうが無難かもしれませんね。
公共の交通機関を利用する場合は、新宿から渋谷、御殿場を経由して箱根に向かう高速バス路線を利用するか、小田原からの路線バスを利用するのが一般的です。
ということで、前編はここで終了。後編では芦ノ湖の四季の釣りを掘り下げてみます。