コンビニコーヒーのレベルが上がり、普段口にするコーヒーの質に注目が集まり出して、はや数年。高品質なコーヒーの代名詞でもある「スペシャルティコーヒー」という呼び名はかなり市民権を得てきたのではないだろうか。そして、外ではもちろん、家でも美味しいコーヒーを飲みたいというニーズは膨らみ続け、様々な抽出器具が発売され、最近は家庭用の焙煎機まで登場している。
しかし、自分にとって「美味しい」コーヒーがどういうコーヒーなのかを解っている人は意外と少ないのではないだろうか。
「美味しい」は感覚的な要素も多分に含む言葉なので、自分にとっての「美味しい」を把握しできていると、美味しいコーヒーは見つけやすくなる。
そこで、1杯のコーヒーができるまでの流れの中から、自分にとっての「美味しい」を紐解いてみたいと思う。
1杯のコーヒーができるまで
コーヒー豆は、コーヒーの木にできる実の種から生成する。ここから我々が飲む1杯のコーヒーにたどり着くまでには大きくわけて6つの段階がある。
この6つの掛け合わせの結果が1杯のコーヒーになるわけなので、本当に美味しいと評価されているコーヒーはこの全ての段階においてハイクオリティが保たれた結果だとも言える。
しかし、実際に我々消費者が自分で楽しめる部分は「抽出」の部分。
中には、私のように焙煎までやってしまう人もいるが、それはマイノリティ。
もちろん、「コーヒーはお店で飲むから抽出は自分には不要」という人もいるとは思うが、美味しいコーヒーにハマると必ず家でも美味しいコーヒーが飲みたくなるので、抽出の楽しみ方を知っておいて損はない。
抽出を楽しむ前にまずやるべきこと
抽出の話をいきなりする前に、まずやるべきことが3つある。
- コーヒー豆を買いに通える自家焙煎店を見つけること
- お店で飲み比べて自分なりの「美味しい」を見つけること
- 美味しいをできるだけ言語化して把握すること
1. コーヒー豆を買いに通える自家焙煎店を見つけること
コーヒー豆はネット販売も盛んなので、全国のお店から購入できる時代。
しかし、私が敢えておすすめしたいのは、コーヒー豆を買いに通える自家焙煎店での購入だ。
そして店内でコーヒーを飲めるお店だと、直良し。
店主が入れた味をちゃんと確認できるからだ。
2. お店で飲み比べて自分なりの「美味しい」を見つけること
「美味しい」を見つけるためには、まずは色々なコーヒーを飲み比べてみることをおすすめする。
飲み比べることで、「AよりBは、苦味が少ないから好き」というように味の比較ができるので、「美味しい」を探す手助けになるからだ。
そして、この時、私はできればお店で飲むことをお勧めする。
コーヒー豆の焙煎は、「こういう味にする」という必ず意図を持って行うもの。だから、そのお店で抽出されたコーヒーは必ずその「意図した味」になっていて、いつ飲んでもある程度安定して同じ味。
同じ味だから自分にとっての「美味しい」を見つけやすいし、後で自分で抽出する時にも、「味の見本」になるからだ。
3. 美味しいをできるだけ言語化して把握すること
飲み比べるて自分にとっての美味しいコーヒーが見つけられたら、今度はその味を言語化することにトライしてほしい。
始めは 「苦味が強い/弱い」「酸味が強い/弱い」「甘味が強い/弱い」程度で構わない。
それができたら、次は感じた酸味や甘味が食べ物に例えると何に近いかを考えてみてほしい。
「ラズベリーのような酸味と甘みがあるから好き」のようなことが表現できるようになると、より深く自分の好みを理解することができる。
コーヒーのプロはこの味のチェックをカッピング(下記写真)と呼ばれる方法で行うことで、味の評価を言語化・点数化し、共通理解として持っているからだ。
ワインやウィスキーのテイスティングを行ったことがある方なら、イメージしてもらいやすいのではないだろうか。

終わりに
ここまでできたら、きっと自分にとっての「美味しいコーヒー」がイメージできているはずなので、いよいよ抽出。
次回から、様々な抽出方法について、説明していこう。