フィッシング&アウトドア系の仕事もこなすパフェ子(ボーダーコリー10歳♀)、吹雪(ウィペット7歳♀)、氷河(吹雪の妹4歳)、シャドウ(ワーキングドッグ4歳♀)にとって、水辺は仕事場ですが、プライベートでは格好のプレイゾーンです。
今回ご紹介する伊東家の4頭のワンコたちは、日頃から森林散策、ストリームクライミング、釣りなど、日常的に元気いっぱいアウトドアで過ごしています。
ワンコ紹介!MEGABASS創世記を支えた伝説のフィッシャーマンズドッグ「名犬Pafe」の遺志を受け継ぐ、パフェ子。
ショーライン・ボーダーコリーのパフェ子は、創世記の伊東由樹さんのフィールド業務を支えた先代犬フィッシャーマンズドッグ「Pafe」の跡継ぎとして迎えたワンコ。
Pafeは、初代フィッシャーマンズドッグのジャーマンシェパード「Boby」と、2代目のラブラドールレトリバー「ラブ」ののちに活躍した、外産のボーダーコリーです。
伝説の伊勢湾チャレンジなど、たびたびMEGABSSのアドバタイジングで目にした大きなボーダーコリー(体重20キロ!)です。まだ、日本にボーダーコリー登録数が少なかった頃でしたので、Pafeのプロモーションは印象深いものがありました。
そのPafeたちの遺志を受け継ぐ4代目フィッシャーマンズドッグが、パフェ子です。
その名前から、いかに伊東さんの先代犬Pafeに対する思い入れが深かったかが伺い知れます。
Pafe子宮蓄膿症で亡くしてしまった伊東さんは意気消沈し、しばらく何も手に就かない空白の状態が続いていたそうです。
そんなある時、伊東さんはパフェ子のことを知ります。生まれつきの虚弱体質のため引き取り手もなく、幼少期を過ごした福島県では、病弱ながら繁殖犬として生かされていたのを、即引き取り、「アウトドアで明るく育てていく」と積極的に海や渓谷に連れ出し仕事にも同伴させてきました。
Pafeとパフェ子には、血のつながりはまったくないものの、伊東さんは、「Pafeとの記憶をパフェ子と共に再現させたい気持ちがあった」といいます。
二歳になってから始めたディスクドッグでは、虚弱体質と極度のシャイを少しずつ克服しながら、ボーダーコリーとしては小柄(体重11キロ)ながらも、めきめきと頭角をあらわしました。若い頃はディスクドッグとして年間シリーズ戦を戦い抜き、シングルランカーにもなって活躍。
多数のG1優勝、R.O.Y(ルーキーオブザイヤー)、M.I.P(モストインプルーブドプレイヤー)など数々の栄誉を受賞しています。
現在のパフェ子は、主にアウトドア系メディアのガイド犬やモデル犬、オビディエンスなど、本来の彼女らしくマイペースに活動しています。現在の伊東家4姉妹犬の長女です。
「すべての命には生まれてきた理由がある」生きる意義を教えてくれたウィペット、吹雪。
ウィペットの吹雪は、現在も現役のドッグスポーツ・アスリートとしても活躍。かつて不慮の事故で左上腕二頭筋腱断裂、左前脚腱脱臼の重症に見舞われましたが、遠い昔、ウサギ狩りレースのために作出されたサイトハウンドとして生まれてきた彼女の生きがいは、「思い切り走る」こと。
アウトドアもスポーツも断念した頃の吹雪は、寝たきりでふさぎ込みがちだったそうですが、特性のコルセットを装着した独自のリハビリ方法で克服しつつあり、7年連続NDAジャパンカップ出場権にノミネートを果たしました。2015-16年は、ナショナルディスクドッグの日本最高峰、「スーパークラス」日本ランキング第5位にノミネート! 2016-17シーズンも連続してシングルランクにノミネートされるという、健常犬と堂々とわたりあう快挙を成し遂げています。
伊東さんにとって吹雪は、生きることの意義や目的を考えさせてくれた、重要なパートナー。「日々を漫然とやり過ごすのではなく、意味や目的をもって生まれた命を最大限に生きる、ことを考えさせてくれた存在です」吹雪がウィペットとして生まれてきた意味は、存分に駆け抜けて生きること。「人間サイドのエゴイズムでしょうが・・・そのために最大限のケアとサポートをして、吹雪が自らの意志で走ることをやめる日まで、自分も体を鍛えて、思う存分彼女が走られるステージに一緒に立ってあげることが、パートナーとしての責任かなぁ」といわれていました。
ポテンシャルを引き出すのは、覚悟を決めたオーナー次第。血統にとらわれず社会参加へのたのしいきっかけを探る!も、一過言あり。
シャドウは、ワーキングドッグの血をひく山犬。幼少期に飼い主が二転三転するという過酷な環境で過ごした保護犬です。伊東家が引き受けたばかりのシャドウは、呼び戻しが効かない、鋭い牙で伊東さんを噛む、飛びかかって体当たりし伊東さんのろっ骨を2度骨折させる、伊東さんの左足首の腱を切るなど、人間不信による極度の攻撃行動が長く続いたそうですが・・・いまではすっかり伊東家の一員として明るく元気いっぱいに過ごしています。
普段は伊東さんのフィールド業務に同伴し、山岳渓流の遡行で“熊避け”「アラームドッグ」として獣道遡行の安全を確保してくれます。山育ちなので警戒心が強く、遠方から接近する野生動物への反応も高く、驚異的な鋭い嗅覚から、最盛期の岩苔(コケ)の匂いに反応して魚がよく集まるポイントを割り出すなど、鱒(マス)釣りファクトリー「GREATHUNTING(グレートハンティング)」専属のフィッシャーマンズドッグとして、フィールドテストや撮影ロケで大活躍。
また、シャドウは運動量が必要な活動犬なのでスポーツドッグとしても活動しています。
2015-16シーズンはナショナルディスクドッグチャンピオンシップ・シリーズで日本一に輝き、ナショナルチャンピオンを獲得! 伝説のハイスコア・ハイプレッシャーバトル「NDA Discdog SDC 長岡 FINAL BATTLE」は、全国の愛犬家たちから注目され話題になりました。奇跡の大逆転劇を演じてシリーズ日本一に輝いた「2016 最終戦長岡 スーパークラス」など、メディアでも紹介されています。
しかし、伊東さんは、「シャドウは、イヌ慣れやヒト慣れ、音慣れが必要なスポーツドッグ競技に向いていなくていいと思っています。高い警戒心と過酷な幼少期を生き抜くための孤独への耐性は、彼女が生き抜くために身につけた必然的な能力ですから」とおっしゃっていました。
また、「問題犬を引き受けるのは、犬の命を守る上で理想ですが、理想と現実は違います。けっして安易ではなく、おすすめできません。引き受けた犬と一緒に、万一の場合の社会的責任も背負いますから。シャドウは、田舎暮らしの私にとって運がよかっただけです」とも語っていました。
シャドウが伊東さんを見る目には、絶大な信頼感と安心感が宿っています。きっと今日の関係を築くまでには、想像を超える苦労があったのではないかと思います。
最速のイダテン娘。ウィペット吹雪の妹、「氷河」は、山犬シャドウのよりどころ。
左:吹雪 右:氷河
吹雪と同じ両親を持つ、吹雪の妹、氷河は、生粋のイダテン娘。ウィペットは時速70~最大80キロで走破するといわれる健脚を持つ犬種です。
鍛えられたウィペットは、海外のドッグレースでも短距離レースではグレイハウンドよりも加速性能が高いといわれています。
氷河は、ワイルドなイメージが強い伊東家のワンコたちの中で、最も小柄なお洒落さん。
犬の専門誌をはじめ様々な媒体でモデルとして活躍していますが、実は、中部地方のスポーツドッグクラブ団体、FKDCのニューイヤーカップ「SPEED競技」では、3年連続トップタイムを叩きだした3タイムス・チャンピオン。
50mをなんとわずか3秒台!で駆け抜けるアスリートで伊東家ファミリーの中で最速の俊足の持ち主です。あのウサイン・ボルトでさえ足元にも寄せ付けない圧倒的スピード、といったらその速さがイメージできるかと思います。
カウント「ワン、ツー、スリー・・・」で、もう50m先を氷河が駆け抜けているわけですから。
なお、保護犬だったシャドウは、氷河ととても仲が良く、実の姉妹以上の仲だそう。氷河の存在によって、シャドウの警戒心と幼少期に受けた心の傷が癒されたのではないか、と伊東さんは考えています。伊東家にとって氷河は、その名前とは正反対の、あったかいムードメーカーですね。見た目もその名のとおりの色白美人です!
愛犬とより良い時間を過ごすために
犬の一生はヒトよりも早く、あっという間にオトナになり老後を迎えます。そのために伊東さんは、共に充実した日々を過ごすためにも、日頃のケアがぜったいに欠かせないと考えています。
「ウチの子のように仕事やスポーツなど、アウトドアでの活動量が多い場合はもちろんですが、一般的な家庭犬も何気ないしぐさや、動作の変化を見逃さないことです。神経質になる必要はありませんが、定期的に体重管理をしながらの食事に気を配っています。市販のフードで十分ですが、太り過ぎと痩せすぎには気をつけます。ウチの子たちは小さい頃から仕事場で釣った魚も食べていますが、一般的にはおすすめできません。お腹を壊したり、危険な魚や原虫を宿してしまう水域もありますから。あとは、活動量とバランスした栄養をしっかりととっていくことでしょうか。あとは、よく遊び、良く寝ることですね」
人間もそうですが、犬の場合も本来の活動範囲を制限しすぎてしまうと、結果、様々な疾患や病気、ケガのもとにもなりかねません。適切な運動量とバランスする栄養を年齢に合わせて見極めながら、それぞれのワンコと接しているそうです。
伊東家に日頃の暮らし方についても聞いてみました!

ワンコたちと一緒に仕事もこなし、大いに遊び、大いに学べ、というのが伊東家流の犬との向き合い方。
犬がヒトを理解し、ヒトが犬を理解すること。
それは人類が犬と暮らし始めてからずっと続いている永遠のテーマかもしれませんね。