現代版ミッレミリア?
去る 4月8日、9日、NASCラリーイベント“SUPERCAR RALLY CHALLENGE 2017”第一戦が、静岡県浜松市で開催された。浜松といえば、ホンダ、スズキ、ヤマハ、現在のトヨタに由来する浜名湖西エリアから今日のモータリゼーションの礎を築き上げた豊田佐吉など、名だたる自動車メーカーの祖を輩出し、日本の自動車工業基盤を支えてきたエリアである。フェラーリクラブオブジャパン(FCOJ)の協力のもと、熱心なフェラリスタをはじめ、全国から集結したエンスージアストが、あいにくの悪天候をものともせず愛車を走破させる姿は、往年のミッレミリアを彷彿させるかのよう。
NHK大河ドラマ「おんな城主 井伊直虎」ゆかりの地として全国区で知られるようになった浜松北西エリアをルートに、法定速度を遵守して悠然と走るフェラーリディーノ246GTや空冷ポルシェ、ビンテージロータスなど、ヒストリックスポーツカーたちの数々が多くの市民と観光客たちの目を楽しませていた。
次世代の創造活動家を育むイベント
日本のモータリゼーションの根幹を支えてきた浜松エリアであるが、近年は製造業の海外流出によって地元工科系専門校や工業系大学への進学率が減少傾向にあるという。主催関係者の中山氏(FCOJ副会長)によれば、「“ものづくり浜松”の象徴ともいえるクルマを通じて、デザインや技術などの創造的行為に、次世代を担う子供たちやそれを支える親御さんたちに親しみと関心をもってもらえるイベントを目指しています。ちなみに、フェラーリの“赤”から、井伊家の“赤装束”を連想してもらえたら(笑)」とのこと。
フェラーリクラブオブジャパンでは、ジャパングッドデザインアワードで数多くの受賞歴を誇り、イタリア・ミラノで開催される世界デザイン博覧会ミラノサローネでも高い評価を得ている著名なプロダクトデザイナー、伊東由樹氏(浜松市やらまいか大使)をゲストに招き、特別講演を開催。うなぎパイ製造元として知られる春華堂ファクトリーに隣接する食のアミューズメント施設 NICOE中央ガーデンには、FCOJから出展されたフェラーリ512BBなど往年の名車が勢ぞろいし、創造的ものづくりと食育のコラボレーションイベントが行われた。希少なスーパーカーたちをバックに行われた伊東氏と春華堂の伝統的和菓子職人による特別講演とデザイン和菓子づくりの実演には、当日1000名を超える多くの親子参加者で賑わい、ものづくり浜松への関心の高さが伺えた。
(Uo! JAPAN)